福岡市(博多)の繁華街の中心というと中州ですね。夜ネオンが輝くこの街を歩くだけで、酒呑みはワクワクするのではないでしょうか。そんな中洲にあるBar倉吉さんにおじゃましました。
Bar倉吉中州店
Bar倉吉中州店は中州エレガンスビル6階にあります。内装はシンプルで落ち着いた雰囲気。広々としたボックス席がありますが、やはり人気なのはカウンターです。私が座っている間にも、2回ほどカウンターが満席になり、仕方なくボックス席に座ったお客さんもいました。
バーカウンターに、天井からのスポットライトの光が落ちていて、正統派バーという感じです。
私がお邪魔したこの日は、たまたまオーナー倉吉さんの誕生日でした(笑)。誕生日を祝う常連さんも来られていましたが、私以外に観光客の方もいました。オーナーの倉吉さんは、白いジャケットに赤いネクタイという、かなり個性的ないでたちでした(もしかしたら、誕生日だからでしょうか…?)。でも、不思議とそれがさまになっています。
さっそく何を飲みましょうか…?
ネットの口コミで「カクテルがおいしい」と書かれていたので、私もカクテルを頼むことに。メニューのリスト一番上にあったホワイトレディーにしてみました(この記事投稿時点で1,300円)。
隣に座っていた北海道からの若い女性3人も、ちょうど同じタイミングでカクテルを注文されたようで、倉吉さんの目の前には4つのシェーカーが並びます。それにテキパキと材料を投入し、一つずつシェイクしていく倉吉さん。
ほどなく私の目の前に、スリム美脚のショートグラスに注がれたホワイトレディーが。
クラッシュされた氷の粒が面に漂う、みずみずしい香りのするホワイトレディーです。一口飲むと、さわやかな酸味が広がり、すっと入ってきます。さすがですね。
倉吉さんはさすがベテランのバーテンダーさんらしく、カウンターのお客さん全員が退屈しないように話術でも、もてなしてくれます。一見客でも常連客でも、同じように話しかけてくれるのがうれしいですね。
「なんで、ホワイトレディにしたの?」
と聞かれて、「ジンが好きなんです」と答えると、じゃあ、マティーニを飲んで、といわれました。
バカラグラスでいただくマティーニ
言われるままにマティーニを注文。ゴードンジンと、たしかノイリーを使っていたと思います。倉吉さんのマティーニは、口の中で柔らかくふわっと広がるタイプのマティーニ。ジンが前面に来る、ギュッとしたマティーニのキツい感じがありません、不思議。
マティーニというと、度数も高く、キツいタイプのカクテルというイメージがありますが、その嫌なエグみがないんです。
私がスマホで写真を撮っていると、倉吉さんは「俺が撮ってやるよ」といって、パチリ。磨かれたカウンターにバカラのグラスに入ったマティーニが反射して、幻想的な写真になりました。まさにアート的ですね。
彼が使用したグラスは、バカラの脚の部分がどっしりした重みのあるスタイルです。カクテルの材料、シェイカーの振り方、グラスがすべて計算された、倉吉レシピです。
バーテンダーによって変わるウイスキーの味
「普段、何をよく飲んでるの?」と聞かれたので、正直に「ウイスキーです」と答えると、じゃあウイスキーを飲みましょう、ということに。
倉吉さんは、ショートカクテルグラスにジョニーウォーカーのブラックレベルを注ぎました。そして、大きなワイングラスにそれを移し替え、再度カクテルグラスに戻す…、一種のデキャンタリングをしてくれました。そうすると、不思議なことに、お酒の味がまろやかになるんです。空気に触れるとこんなに違うんですね。
今度は、ワイングラスに氷を数個入れ、そこに先ほどのウイスキーを注ぎます。これでオンザロックになるわけですが、これもやわらかい味に。
「お酒をうまくするのも、まずくするのも、バーテンダー次第なんだよ」と倉吉さん。
バーテンダーの「見せどころ」
ちなみに、このお店でつかわれているバースプーンは長めのものです。良くバーで見かけるバースプーンよりも長いので、ステアするときに見つめていると、スプーンのトップが通常よりも大きく旋回します。「かっこいいでしょ」と倉吉さん。
バーテンダーとして、自分のふるまいを「かっこよく」見せる方法にもこだわっていらっしゃるようです。確かに、バーに座った時に眺めるバーテンダーさんの動きにキレがあると、お酒も美味しく感じますよね。
倉吉さんの話術と美味しいお酒に、すっかり気分がよくなって、つい長居をしてしまいました。倉吉さん、お誕生日おめでとうございました、笑!